シグ鉄さんのブログで名古屋市の西側、八田のあたりが取上げられたので、私も古いネガを掘起こしてみました。54年前の昭和42(1967)年4月初め、飯田線から始まって名古屋に3日ほど滞在し、最後は中央西線経由で長電を見て東京に戻っています。撮影したネガは4本、今回は近鉄を中心にまとめてみました。

P4253483
随分田舎っぽい雰囲気ですが、近鉄で名古屋から4駅目の八田です。左端にしょぼいホームが見えています。この頃から待避可能な配線で、画面の右には数本の留置線もありました。車両は言わずと知れた2代目ビスタカー10100系で、両端とも貫通式のC編成です。

P4253487
普通列車は2連(というのは今でも同じ)。6226は旧伊勢電のモニ221形です。名古屋線の旧型は改軌で台車を取換えているので、クラシックな車体にシュリーレン台車のミスマッチがおもしろい。

P4253488
ク1700-モ1600に増結用のモ1650を加えた3連の準急。大阪線の1480系と同じモーターですが、1M方式でM-T編成を基本としています。

P4253490
ここは手前に国鉄関西本線が並走しています。非電化で単線だからとても本線とは思えません。列車本数は近鉄の1/10以下です。

P4253491
新エースカー2連の特急。名阪ノンストップじゃないかな。

P4253492
C57牽引の旅客列車。国鉄の八田駅はもう少し左にあり、発車したばかりだから煙とドレーンを吐いています。

P4253501
ビスタカーのB編成。

P4253502
気動車列車はここにも30系が進出していた。

P4253503
特急「あすか」。東和歌山~名古屋という運転区間のせいか人気がなく、この年の10月改正で廃止されています。

P4253504
旧伊勢電クハ461形で、幕板に飾り窓の縁取りが残っている。名古屋行きの急行が回送されてきて留置線に入り、このあとパンタを降ろしてしばらく昼寝となりました。

P4253505
名古屋線配置となっていた2200系。ほとんど3扉化されていましたが、3両目はまだ2扉です。このコマに限らず、まずモノクロでシャッターを切り、引きつけたところをカラーポジを入れたハーフ判で撮るということをしていました。そのためモノクロは早めにシャッターを切るので右2/3くらいが余白、車両は下手すればケツ切れという状態になっています。

P4253508
近鉄に続くコマがこれ。市電下之一色線の松葉です。市電で初めてワンマン化されたくらいの閑散路線ですが、地図で確認すると烏森駅のすぐ近くなんですね。まだ市電に対する知識はほとんどなく、たまたま駅を出たら市電があったから乗ってみたのだと思います。沿線は市電らしからぬ風景が展開していたはずなのに、途中でのスナップは1枚もありません。

P4253509
終点のひとつ手前の築三町で後続の51系統の市大病院行きに乗換えました。800形は1mあたり1トンを切る軽量車体、車体中央に置いた両軸モーターから乗越しカルダンで各台車の外側1軸を駆動するという珍しい伝導方式を採用していました。日本車輌に勤務し、JORCにも在籍していた方が設計した意欲作なのですが、乗り心地は最悪。加速はよいけどモーターの振動が車体に伝わり、少しスピードが出ると前後左右上下に満遍なく捻るように揺れました。恐らく車体の剛性不足がかなり影響していたのだろうと思います。設計したご本人はこの車両をどう評価していたのか、機会があったら聞いてみようと思っているうちに亡くなられてしまいました。

P4253510
これは場所がわかりません。熱田の近くだろうと思います。この2000形は名古屋市電だけではなく、日本の路面電車のなかでもトップ3に入る高性能車です。直角カルダン駆動、弾性車輪の採用により交差点のクロスを通過しても後ろを向いていれば気付かないほどで、無音電車の看板に偽りはありません。このあと、熱田(神宮前)に出て名鉄に乗っています。
*市電系統図と地図を対照すると、八熊通ではないかと思います。

P4253540
これは栄の地下街。ほんの数日前に地下鉄の路線が延長されています。

P4253525
開通を記念した模型コレクション展が行われていました。名古屋模型鉄道クラブ(NMRC)が協力していたのでしょう。

P4253541
地下鉄名城線にも乗っています。

P4253539
名古屋駅の西側はまだ開発途上でした。これは縦に細長いビルの8階にあった名古屋国鉄ホステルから撮影したもので、1部屋に2段ベッドが2組置かれた簡易宿泊施設でした。現在は0系の先頭あたりがあおなみ線の改札口になっています。

PC162177
西口の真ん中あたり、今は高速バスのターミナルがあります。当時、広場の隅っこでは夜になると怪しげなオジサン達が集まって焚き火していて、普通の人は足を向けたくない雰囲気でした。